社内勉強会のよくある失敗「意味ない」「続かない」、その対策
社内勉強会に関連する検索キーワードを調べてみると、「社内勉強会 意味ない」「社内勉強会 続かない」というネガティブなキーワードがよく出てきます。そのような社内勉強会を経験した方も多いかと思います。
私は社内勉強会に100回以上関わっていますが、もちろん意味のある、数十回以上続いている勉強会もあります。本記事では、「意味ない」「続かない」と言われる理由と、失敗しないための対策を紹介します。
※ エンジニア主体の勉強会や、レクリエーション系の会は対象外としています
社内勉強会に関わる人とその背景
ベンチャー・スタートアップ企業をイメージしています
- 人材育成や社内リレーション強化の施策として、社内勉強会は軽く、始めやすい
- 始めやすく、なんとなく自分たちでできる(自分たちでやりたい)と思い、きちんと設計してから始めない
- 人材育成や社内リレーション強化の施策として、社内勉強会は軽く、始めやすい
- 始めやすく、なんとなく自分たちでできる(自分たちでやりたい)と思い、きちんと設計してから始めない
- 勉強会専任の担当者ではない
- 本業が100%ある状態に、アドオンで運営や登壇者(講師)の仕事をすることになる
- 自ら手を挙げるケースもあるが、本業が忙しくなると運営できなくなる
社内勉強会の失敗|意味ない、続かない、その理由
それぞれの理由は以下になります
- 勉強会開催の背景、目的がわからない
- 内容が薄い、体系的でない
- 受講者が知りたいテーマではない
- よくリスケになる、習慣・文化にならない
- 講師が見つからない(引き受けてくれない)、受講者が集まらない
- 満足度が低い(受講者だけでなく講師も)
失敗の根本原因は、「目的が曖昧」「準備負荷が重い」の2点だけ
1. 目的が曖昧のまま運営している
- 残念なことに目的が曖昧な社内勉強会はよくあります
- 目的が曖昧な社内勉強会では、扱うテーマが幅広くなってしまい、参加者からすると体系的でなく場当たり的のように感じます (論理的思考力のような基礎的なスキルから、会社の歴史、マーケット分析、事例紹介、新メンバーの自己紹介のように扱うテーマが幅広い)
- 目的が曖昧な社内勉強会では、参加しても「意味ない」と感じる方も多く、参加してくれたとしても学習効率が落ちてしまいます
- 目的が曖昧な社内勉強会では、登壇者も協力することに意味を感じることができず、積極性が失われていきます
- 事例1
- 有志で突発的に発生した1回目の勉強会が好評で、目的を定義せずに2回目以降を運営してしまった
- 2回目以降もしばらくは続いたが、登壇を受けてくれる人が減り、頼みやすい人にばかり頼み続けて、その人ができるテーマしか扱えなくなった
- 事例2
- はじめのうちは目的を明確して運営していたが、忙しい時期に入り、登壇者が見つかりにくくなった
- 登壇してくれそうな人にあわせて扱うテーマの幅を広げてしまい、目的が曖昧になってしまった
- 事例3
- 参加者の聞きたいことに振り回され、会社や登壇者が学んでほしいことと離れていって、会社から止められた
2. 準備負荷が重い、時間をかけすぎてしまう
- はじめのうちは、張り切ってしっかり準備してしまいます
- しっかり準備された勉強会を見ると、次に登壇する方のハードルが上がり、次の登壇者が決まりにくくなります
- 登壇者が決まったとしても、当日までに準備しきれず、頻繁に直前でリスケになり、参加者も減り、結局は続かなくなります
- 凝ったスライドを用意することよりも、登壇者だけが持つ経験や情報、考え方を話すだけで参加者には学びになります
- 資料を使う場合でも、登壇者がゼロから作成する必要はなく、既にある教科書や記事を活用するか、またはテキストと画像を用意するだけでも分かりやすく伝えることはできます
解決策|「意味のある」「続けやすい」社内勉強会にするには
この2つを守るだけで、「意味のある」「続けやすい」社内勉強会を実現できます
1.目的を明確にして周知する
2.登壇者の負荷を軽減する
1. 目的を明確にして共有する方法
まずは目的を設定し、紐づいたテーマを設定します
決まった目的を共有しながら進めていきます
目的から先に決めて、目的にあったテーマと登壇者を設定します
- 勉強会をはじめることになった目的を思い出し、明確に定義して社内に共有します
- 複数の目的で勉強会を運営しても問題ありません (目的は絞ることではなく、テーマとの紐づき、テーマへの納得感が重要です)
- 目的にあうテーマを洗い出します
- 開催回数が増えて、蓄積していくとテーマを体系化しやすくなります
※目的の例とテーマ設定の方法はこちらのページでも紹介しています
- 売上向上、営業スキルを標準化する目的で、トップ営業マンが過去の商談内容を共有する
- コスト削減、業務効率化が目的で、運用チームのベテラン社員が時短方法を説明する
- 組織力の向上、社内ネットワーキング構築が目的で、各組織の機能と事例とメンバーを紹介する
目的を共有する
- 登壇者を招待するときには目的から伝えます(目的にあった内容で説明してくれるようになります)
- 毎回勉強会のはじめに、参加者へ目的から話します(参加者が参加する意味を理解し、学習効率が上がります)
2. 登壇者の負荷を軽減する方法
社内勉強会は「登壇者」に大きな負荷のかかる施策です
情報は全て登壇者が持っていて、勉強会の成功失敗はほぼ全て登壇者にかかっています
登壇者の負荷を最小化できる形式で、周りがサポートすることで成功に近づけていきます
登壇者の準備の軽減方法、実践例
例1|完全に準備なし、テーマに沿ったインタビュー型の勉強会とします
- 「完全に準備なし」が一番続けやすいですが、心配な場合は事前に質問を決めておく(インタビュアーから質問を受け取るか、アンケートで事前質問を集めても良いです)
※cacumoでは「準備のいらない社内勉強会」という方法を推奨しています
例2|完全に資料なし、当日は説明しながらリアルタイムでメモを取る程度にします
- 「完全に資料なし」が一番続けやすいですが、資料がないと理解しにくいテーマもあります
- 資料が心配な場合は、既にある資料を使う、または一般の記事や書籍からピックアップして使います
- あらゆる面で勉強会のためだけの準備時間を極力ゼロに近づけます
- 1回1回の開催に力を入れるよりも、続けやすい勉強会を設計することがポイントです
- 続けるために軽量化できた方が良い、準備をしてきたら良くない、という文化を定着させます
運営の負荷の軽減方法、実践例
上記の登壇者の負荷を軽減することの方が優先ですが、運営の負荷も下げておくと続けやすいです
- オンライン開催のみにします、リアルでは開催しません(大きな会議室を準備する必要がなく、そのまま録画できます)
- 開催時間は5分スタート、5分前終了(hh:05〜hh:55まで)とします(前後に余裕ができるため参加ハードルが下がり、開始時に人を待ってグタつくことがなくなります)
- インタビュアーになる場合は、事前に質問を準備しておきます(数回で型化できます)
- 定期的にアンケート(目的に対して効果があるか)と振り返りを実施します
- テーマと登壇者の設定は数回分を一度にまとめて設計します
さらに、社内勉強会を良いものにするには
上記の対策だけでも、「意味のある、続けやすい勉強会」にできますが、もう少し時間をかけられるなら、下記も効果的です
文字起こし記事を制作、社内メディアで展開
- 自動文字起こしと要約と動画を、社内メディアなどに格納して展開します
- 当日参加できない人や、文字や動画で情報を得たい人がいます
- 自動文字起こしはまだ記事レベルにはなりません、もし時間をかけられるのならこの開催後の記事制作に時間かけられると、より勉強会を効果的にできます
- 記事を制作して、見出しを整理しておくと勉強会の体系化にも役立ちます
登壇者へフィードバック
- 毎回開催後にアンケートを集め、その結果を登壇者へ展開します、
- 文字起こし記事を登壇者へ展開すると、登壇者の成長にもつながります
補足|勉強会へ積極的に協力してもらうために
- よくあるのが、メンバーが勉強会参加することや、運営や講師をしていることを評価に含めるという方法です
- しかし、この方法は間違いだと考えています
- 評価に含まれるからといっても、メンバーが勉強会へ積極的に参加してくれるようになる可能性は低いです
- なぜなら、会社にとって「勉強会への参加」が、「事業成長」以上に重要になることはなく、「事業成長」以上に評価されることはないからです
- 事業が忙しくなり、事業にとって重要な課題があれば、勉強会よりもそっちにリソースも意識も集中されます
- 勉強会に参加することや運営することで評価されるのではなく、勉強会に参加して成長して成果を出せばもちろん評価されます
- なので、評価に含めるのではなく、目的設定と準備と運営の軽量化によって、意味のある続けやすい勉強会にすることで、成長しやすく成果を出しやすくなることが重要と考えます
- 成長を感じることができれば参加者は集まりますし、登壇者にとっても学びや成果につながる会にできるため積極性を引き出すことができます
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